なぜマタニティ・ヨーガがこんなに気持ちいいのか
 “マタニティ・ヨーガ”を初めて意識したのは、自分が婦人科系の手術を受けるため入院していた病院でのことだった。たまたま話をしていた看護師さんが助産師さんで、マタニティ・ヨーガ協会のマタニティ・ヨーガ指導者養成コースを受講された方だった。私がヨーガの指導をしているという話から、そうなったのだが、「受講してとても良かったので、退院して機会があれば是非受けてみたらどうか・・・。」とのことだった。後に私もそのコースを受け、今に至っている。

 しかし、そのコースを受ける前に、ヨーガ関係のある先輩からマタニティ・クリニックでヨーガのクラスを担当してみないか?と話をいただき、早速、妊婦さん達10数名と一緒にマタニティ・ヨーガを初めて受けさせてもらった。何とも言えない気持ち良さで、途中から涙が止まらなくなった。実は「ヨーガってこんなに気持ちのいいものだったんだ!」と感じたのは初めてだった。それまではポーズ重視のハードなヨーガにずっと取り組んでいたため、ゆっくりとした体の動きと呼吸を合わせて行うことも、意識を内側に向けることも初めてだった。心身ともに元気で、体を動かしたい!と思っていた頃はハードなヨーガでも良かったのだが、心身共に疲れてヘトヘトになってどうしようもなくなってしまった時、ハードなヨーガでは自分を癒してあげることはできなかった。本当は四方八方塞がりでいっぱいいっぱいだったのに、「自分は大丈夫なんだ!」と、体の声も心の声も聞かず、助けを求めずにつっぱっていた。ところが、ヨーガによって自分の内側に気持ちを向けた時に、初めて“しんどい!もうダメだ!”と叫んでいる自分を認めることができて、もう許してあげよう・・・と思った。その瞬間、「今まで心の声を聞いてあげられなくてごめんね・・・解放してあげようね・・・」と浄化の涙がどんどん流れた。その時の感動が忘れられず、それ以来ずっとマタニティ・ヨーガを指導させてもらっている。

 それにしても、妊婦さんたちと一緒にヨーガをするのは本当に気持ちいい。私はマタニティ・ヨーガのクラスが大好きだ。外では日々様々な出来事が起こり、目や耳を覆いたくなるような事件も絶えない。妊婦さんの中にも、色々問題を抱えている方もいるだろう。でも、そんな中でもクラスの中はいつも愛が溢れている。そこだけ時間が止まっているように感じる。

 妊婦さんのクラスでは、一般のクラスよりも瞑想する時間を多く持ってもらっている。お腹をなでて赤ちゃんと対話してもらったり、ただ赤ちゃんの事を思ってもらったり、自分の心の声を聞いてもらったり、を何度もしてもらう。瞑想によって涙を流す妊婦さんを見ていると、いまだに私まで胸が熱~くなってくる。「この空間は、母親が子供を守ろうとする大きな愛情でいっぱいだからこんなに気持ちいいんだろうな・・・」とずっと思っていたのだが、少し前から、「母親の愛情はもちろん大きいが、それよりも大きいのは、純真無垢な赤ちゃんのパワーなのかも・・・」と気づき、赤ちゃんの偉大さにさらに感動させられている。

 ヨーガでは、我々にはもともと神性があると考える。それは“アートマ”で、“ブラフマ(神様のような唯一絶対の存在)”と同じものである。しかし、我々は成長していくにつれて様々な経験を積み、太陽に雲がかかるように、アートマを隠してしまう(その雲を払いのけて太陽を輝かせるためにヨーガをするのだが・・・)。しかし、赤ちゃんは泥棒を見てもそれが泥棒だとは分からない様に、赤ちゃんのアートマには一切雲がかかっていない。だから赤ちゃんの存在は神様のような存在そのものなのだ。お腹の中だとは言え、その赤ちゃんがたくさんいる空間はスゴイと思う。気持ち良くて当然だ。その神様のような赤ちゃんとお腹の中でひとつになっている妊婦さんは、何もしなくても、ただ座っているだけで“ヨーガ”なのだ。


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by chitrankita | 2012-04-23 23:37 | マタニティヨーガ

チトランキータのブログ               平井真理子・・・日本ヨーガ療法学会認定ヨーガ療法士 2002年よりヨーガ指導開始。 ヨーガセラピークラス、マタニティヨーガなど神戸~西宮を中心に活動中。
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